アロエベラの吸収促進作用

この研究は、International Aloe Science Council (IASC)が、Scranton大学のVinson教授に依頼して行われた研究です。IASCとは、世界中のアロエを研究している科学者、アロエ製品を製造、販売している会社がアロエの研究と品質の向上、そして、業界の地位向上を目指して作られた非営利団体です。

以前も同じ様な研究がDavis博士によって行われました。その時の研究では、アロエベラで服用するとアスピリンの吸収量が増加すると言うことと、ビタミンCをアロエベラに溶かして塗布すると、ビタミンCの吸収量が増加すると言う結果がでました。今回の研究から特にアロエベラゲルは、水溶性物質と油溶性物質の両方、即ちほとんどの物質の吸収を促進することがわかりました。

欧米では、ほとんどの化粧品にアロエベラが配合されています。それは、アロエベラの持つ経皮吸収促進作用を利用して他の有効物質の効果を高めたいからです。又、この研究の結果から栄養飲料にアロエベラを加えることで栄養物の吸収が促進されるために、更にアロエベラの利用が促進されると考えられます。

以下にこの研究の日本語訳を掲載します。原文が必要な人は、エアーグリーンにお申し込み下さい。

人のビタミンCとビタミンEの利用能力に対するアロエベラの影響


Effect of AIoe vera preparations on the human bioavailability of vitamins C and E.
Vinson, H. AI Kharrat, and L. Andreoli Department of Chemistry,
University of Scranton, Scranton, PA

アロエベラジュースを飲んだとき、水溶性や油溶性のビタミンの吸収に与える影響について、今まで研究されたことは無かった。数百万人のアメリカ人を含めて、世界中で数え切れないほどの人々がビタミン剤を飲んでいる。食物や飲料、医薬品そして老化などが、ビタミンの吸収を阻害しているかもしれないと言う事実は、多くの人々から指摘されている。一方世界中で非常に多くの人々が、アロエジュースを飲んでいる。それ故アロエとビタミンの関係を調べることは、非常に重要なことである。

我々の研究グループでは、この関係を調べることにチャレンジした。水溶性ビタミンであるビタミンCに関するデータは、8名の被試験者から得た。2つの種類のアロエベラジュース(全葉とゲル)がこの研究で使われた。被試験者は、一晩の絶食の後、病院に集まり、500mgのビタミンCの錠剤と60mlの水(コントロール)又はアロエベラ全葉ジュース、又はアロエベラゲルジュースを無作為に与えられた。飲み物は、5分間以上かけてゆっくり飲まれた。血液サンプルは、1、2,4,6,8,24時間後(朝食前、絶食時)に採取された。投与後の被試験者は、通常の昼食や夕食を食べることが許可された。1週間後と2週間後に他の飲み物に変えて飲み、同様の実験を行いサンプルを採取した。血液は、血清に変えて、メタリン酸防腐剤を混合させ、-80℃で液体クロマトグラフィーの試験が始まるまで保存した。


異なる飲み物で飲んだ場合のアスコルビン酸塩の血清濃度の変化は、図1示した。時間経過に応じた血清アスコルビン酸塩平均濃度と吸収量の変化は、生物学的利用能力に相当する。量(グラフの面積)は、グラフィックプログラムにより決定された。ビタミンCを水で服用した場合の吸収量を100%とするとアロエベラゲルジュースで飲んだ場合は、304%で、アロエベラ全葉ジュースで飲んだ場合は、80%であった。アロエベラゲルジュースで飲んだ場合のビタミンCの利用能力(吸収能力)は、水に比べて3倍高かった。しかし、アロエベラ全葉ジュースで飲んだ場合は、逆に80%と低かった。

アロエベラジュースは、アスコルビン酸塩の吸収を遅らせる作用が有ることが解った。ビタミンCを水で飲んだ場合は、吸収のピークが2時間後なのに対して、アロエベラジュースで飲んだ場合は、吸収のピークは、8時間後であった。アロエベラジュースは、薬剤をゆっくりと吸収し、長時間薬剤の効果を持続させる作用を持っていることが解った。即ち、アロエベラジュースで薬剤を飲むと、すべての薬剤が除放性に変わることになる。アロエベラゲルジュースは、他に比べてビタミンCの吸収量を増加させた。投与後8時間と24時間で、他に比べて最大のビタミンCの血中濃度を保った。薬剤の有効血中濃度を保つ目的では、アロエベラゲルジュースでの服用は、有効な手段である。

文献上から見ると、アロエは、アスコルビン酸の吸収を促進する素材としては2番目に発見された物で、1番早く発見されたのは、シトラスエキス(柑橘類のエキス)である(1)。ビタミンCは、最も一般的な水溶性のビタミン剤で広く服用されているので、アロエは、広範囲な応用が可能になる。

脂溶性ビタミンであるビタミンEが10名の健常者に投与された。ビタミンCがビタミンE(酢酸トコフェロール)に変わっただけで試験方法は、全く同じで行われた。被試験者には、400mgのビタミンEが入っているソフトカプセルが投与された。血清中のビタミンE量の変化は、図2に示す。


ビタミンEを水で飲んだ場合の吸収量は、絶食時(24時間後)を除いて非常に僅かであった。そして、水で飲んだ場合は、時々ビタミンEの量が、投与前より低くなり、明らかに不健康な状態を示した。アロエベラジュースで飲んだ場合は、24時間後を含むすべての時で投与前よりビタミンEの血中濃度が高くなった。図2から、両方のアロエベラジュースで飲んだ場合、8時間後と24時間後の血清ビタミンE濃度は、投与前に比べて明らかに高くなっている。又、アロエベラジュースで飲んだ場合、コントロールに比べて、長時間高濃度のビタミンE量を持続している。総吸収量(吸収曲線の面積)は、水で飲んだ時を100%とすると、アロエベラ全葉ジュースの場合は、198%で、アロエベラゲルジュースの場合は、369%であった。アロエベラ全葉ジュースで飲んだ場合、ビタミンEは、2倍吸収され、アロエベラゲルジュースで飲んだ場合は、3倍以上吸収が良くなったことになる。アロエベラジュースで飲んだ場合、吸収は、ゆっくりしていた。水で飲んだ場合のビタミンEの最高血中濃度は、4時間後で、その後血中濃度は、低下していった。アロエベラ全葉ジュースで飲んだ場合のビタミンEの最高血中濃度は 、6時間後で、アロエベラゲルジュースで飲んだ場合の最高血中濃度は、8時間後であった。水で飲んだ場合と比べて、アロエベラジュースで飲んだ場合は、吸収量を非常に改善し、そして、長時間高い血中濃度を持続した。この結果、アロエは、特異的にビタミンCとEの生物学的利用能力を改善する能力を持っていることが解った。

先進国では、高齢者の割合が非常に高くなっている。これら高齢者の人々は、若年者に比べて吸収力が低下しているのでビタミン不足や食べ物の摂取不足、医薬品の過剰服用になりやすい(2)。人工透析をしている患者は、血液中のアスコルビン酸塩の濃度が低く、人口透析を続けることで更に低下している(3)。脂肪が、脂溶性ビタミンであるEの吸収を促進することは、良く知られている。しかし、多くの人は、空腹時にビタミンを取っているし、ダイエットをしている人は、低脂肪食を取っている。ダイエットの為の脂肪吸収阻害物質であるOrlistat(4)や体に吸収されない食用油の代用品であるOlestra(5)を長期間使用していると血清ビタミンEの濃度が低下する。我々の研究結果は、アロエ製品を飲むことで、水溶性及び油溶性のビタミンの吸収を有意に改善し、多くの人々に健康増進作用を提供することが解った。

アロエベラとビタミンC、Eは、広く化粧品に使われている。このような組み合わせが、これらのビタミンの経皮吸収を改善するかどうかを調査すべきである。(注:アロエベラが、ビタミンCの吸収を増強することは、すでに実証されている)最近の研究結果からアロエに含まれる成分には、強力な免疫増強作用があることが解っている(6)。そして、アロエの持つ外傷治癒作用と免疫療法との間には、密接な関係がある。多分、ビタミン以外の他の医薬品との組み合わせにより相乗効果が期待できる。アロエの葉の抽出物が、タイプIとIIの糖尿病ラットで血糖降下作用を持っていることが示された(7)。2種類のラットを使った関節炎に対する効果を調べた研究では、ラットの足の浮腫を減少させた(8)。それ故、多くの有望な健康増進効果が解るかもしれないので、アロエに関する研究は続けなければならない。

参考文献
1. Vinson, J, Bose, P. Comparative bioavailability to humans of ascorbic acid alone or in a citrus extract. Am J Clin Nutr 1988; 48: 601-4.
2. Van den Berg, H, and der Gaag M., Hendriks H. Influence of lifestyle on vitamin bioavailability. Int. J. Vitamin Res. 2002; 72: 53-59.
3. Wang, S., Eide T., Sogn, E., Berg, J, Sund J. Plasma ascorbic acid in patients undergoing chronic hemodiaAysis. Eur. J. Pharmacol 1999; 55: 527-532.
4. Melia, A., Koss-Twardy, S., Zhi, J. The effect of orlistat, all inhibitor of dietary fat absorption, absorption of vitamins A and E in healthy volunteers. J. Clin. Pharmacol. 1996; 36: 647-653.
5. Kelly S., Shorthouse, M., Cotterell, J., mordan, A., Lee, A., Thurnham, D., Hanka, R., Hunter, J. A 3-month, double-blind, controlled trial of feeding with sucrose polyester in human volunteers. Br J Nutr 1998; 80:41-49.
6. Pugh, N., Ross, S., EISohly, M., Pasco, S. Characterization of Aloeride, a new high-molecular-weight polysaccharide atom Aloe vera with potent irnmunostimulatory activity. J. Agric. Food Chem. 2001; 49:1030-1034.
7. Okyar, A., Can, A., Akev, N., Baktir, G., Sutlupinar, N. Effect of Aloe vera leaves on blood glucose level in type I and type II diabetic rat models. Phytother. Res. 2001; 15: 157-161.
8. Davis, R., Leitner, M., Russo, J., Byrne, M. Anti-inflarmatory activity of Aloe vera against a spectrum ofirritants. J. Am. Podiatr. Med. Assoc. 1989; 79: 263-276.

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