経皮吸収促進物質としてのアロエベラの効果
The Biologibal Vehicle Effect of Aloe Vera
Aloe vera a sicentic approach p47-84
Rpbert H. Davis Ph.D
Published by Vantage Press, Inc.
516 West 34th Street, New York, New York 10001
アロエベラゲルは、99.5%の水分と、0.5%の固形分からなっている。通常水分は、皮膚表面から角質層にある障壁(皮膚バリアー)を通過して、血管が通る真皮層へ浸透する。アロエには、アミノ酸や酵素、炭水化物といった水溶性物質と、ビタミンやステロール、アントラキノンといった脂溶性物質の両方を含有している。アロエベラの水溶性の性質は、おそらくゲル部位に由来していて、油や疎水性化合物を溶解する能力は、すなわち脂溶性の性質は、おそらくその外皮の部分に由来していると考えられる。アロエには水溶性、脂溶性両方の薬理活性物質が存在し、それらの物質が、皮膚を通って血管へ運ばれ、作用していると考えられている。定義によれば、「媒体(vehicle)」とは、内分泌物や薬理活性物質を生体システムにより体内に運ばれる時に仲介物質又は搬送物質として作用する物質のことである。ほとんどの場合、媒体(vehicle)は、それ自身生物活性をもたない。その作用は、単に、薬理活性物質をその薬理活性を発揮できる場所に運搬するだけにすぎない。アロエベラに含まれるビタミンCの体内活性(外用及び内服)について行った我々の初期の研究では、
この研究が、アロエベラの「媒体(vehicle)としての効果」を調べるるために行われたのではないが、結果として、水溶性化合物(ビタミンC)の媒体(vehicle)としてのアロエベラが作用していることを裏付ける結果が得られた。(1)。
「生物的媒体(Biologocal vehicle)」とは、生物活性物質の物理的、または生理的担体(搬送物質:carrier)として作用するだけではなく、対照となる薬理物質がどんなものであれ、他の媒体と違ってそれ自身が持つ生物活性をその対象物質に与えると言う性質も持っている。事実、アロエベラには、その物理的な担体(搬送物質)としての作用とともに、アロエベラの固有の生物活性も持っている。「指揮者」となる多糖類を取り囲む「オーケストラ」の構成員には、多くの活性をもつ化合物からなっていることを思い出していただきたい。(2)(「アロエベラにおける指揮者とオーケストラの概念」参照)アロエベラのこのような特性から、ほとんどの対象物質に生物活性を与えることが出来る。我々の研究から、アロエベラは、それ自身その多くの分画で生物活性を示している。
そこで次の様な疑問が生まれる。
「我々は、アロエの持っているこれらの活性をどのようにしたら利用出来るのだろうか?」
「更にどのようにしたらそれらの活性を、媒体としてのアロエベラの特性として加えることが出来るのだろうか?」
「一方、違ったサイズの多糖類を摂取することなどでそれらの生物活性を増強することが出来るのだろうか?」
アロエに含まれる多糖類は腸で吸収され、血液へ運ばれ、血液中のタンパク(グロブリン)と結合する。おそらく酸やアルコールは、アロエの血液タンパクとの結合を解放する役割を持っていると考えられる。多糖類は、細胞膜のタンパク部位を経て、細胞膜を垂直に通過して細胞内に運ばれる。その後、細胞内で代謝される。細胞内で代謝された多糖類の大きさが、その生理活性を決定すると考えられる。
10年から15年におよぶ研究の結果、我々はアロエベラが炎症や外傷の治療に、経口でも効果のあることは分かってきた。(3) しかしながら、腸から細胞までどのように移動するのかが解っていなかった。そこで、放射線でラベルしたアロエベラを経口で摂取し、それが、どこへ移動するかを観察することが、重要になってきた。我々は、アロエベラが腸内で吸収され、炎症部位や損傷組織部位まで到達するのを追跡できるならば、きっとそれ結果は、我々に驚きを与えるだろう。このようなアロエベラのもつ生物学的作用は、「媒体(vehicle)効果」の研究を含めて今後何らかの研究で検討されなければならない。
粘液質とアロエベラの皮膚浸透性
外用剤の皮膚浸透性は、薬剤の種類、媒体(vehicle)の種類そして皮膚の状態で影響を受ける。更に、媒体(vehicle)は、薬剤の生理活性を変えることでその皮膚浸透性に影響を与えているのかもしれない。アロエベラ(ゲル)と粘液質(アロエベラの外皮の内側にあるムコ多糖類を含む部分)が、皮膚浸透性に影響を与えていることについて今でほとんど関心が払われていなかった。角質層は、薬剤の経皮吸収に対して障壁(Barrier)として働くだけでなく、薬剤の蓄積場所としても働いている。最高の経皮吸収効果を得るためには、投与方法、実験動物の種類、塗布部位、薬剤濃度そして実験環境等に注意を払わなければならない。ヒドロコルチゾンの経皮吸収は、手のひらや足の裏では非常に悪く、陰嚢では、最大に吸収を示すことが解っている。しかし、一般的に、塗布されたヒドロコルチゾンのほとんどは、角質層まで吸収されず、無駄になっている。
アロエには。ヒドロコルチゾンの吸収を促進し、その生理活性を増強する作用を持っている。アロエベラは、抗炎症作用とステロイド剤の外傷治癒阻害作用(治癒を遅らせる)を妨害する両方の作用を持っている(アロエベラには、ステロイド剤の様な感染症に対する抵抗力が減少する作用はない)。我々は、アロエベラの経皮吸収促進作用は、水和作用、吸蔵作用(包み込んで取り込む作用)や溶解性の増加によって引き起こされると考えている。それで、我々は、アロエベラが薬物の経皮吸収促進作用を持つ媒体(vehicle)として使用できるかどうかを検討するためこの研究を行った。一方、粘液質は傷口の水分を保つための丈夫なシールを形成する性質を持っている。アロエの葉では、動物に噛まれた時に起こる外部へゲルの流失と細菌汚染を妨ぐ為に粘液質のシールが形成される。すなわち、粘液質は、ゲルを外部から遮断して密封する容器の様な役割をしている。
トリパンブルーを用いた浸透性の定量
成熟した雄のICR (Institute Cancer Research)マウス(30g、1グループ15匹)を4つのグループに分け、それぞれのグループに、10%アロエベラ5%トリパンブルー生理食塩水溶液、10%粘液質5%トリパンブルー生理食塩水溶液、5%アロエベラ溶液、5%粘液質溶液、そして対照群として5%トリパンブルー溶液を投与した。(トリパンブルー:青色の酸性アゾ染料、細胞、組織球などの生体染色に使われる)
各実験動物をエーテルで麻酔してから、耳に識別標識を付けた。対照群のマウスには、0.01mlの5%トリパンブルー溶液を、26-gauge x 3/8"注射針の付いたHamilton microsyringeを用いて、皮内注射で投与した。そして他の動物には、10%アロエベラ含有5%トリパンブルー溶液、10%粘液質含有5%トリパンブルー溶液、そして5%アロエベラ5%粘液質含有5%トリパンブルー溶液を各0.01mlづつそれぞれに、皮内注射した。初期の浸透状態は、明るい照明の下で各動物を捕まえて観察した。皮内注射された場所は、はっきり識別でき、その範囲は測定された。観察は、注射後、1時間後、3時間後、6時間後に行われた。トリパンブルー定量は、細胞膜透過性を観測するのに簡単で迅速な手法であるので、この方法をアロエベラ、または粘液質の組織浸透性を測定するのに応用した。(4) 平均値の標準誤差は、その差が正しいかどうかを判定するためにステューデントt検定により計算した。(5)
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生物的媒体(biological vehicle)としてのアロエベラ
アロエベラ(ゲル)は、その99.5%が水分であるので、皮膚の表面(角質層)から血管真皮部位へ移動することが可能である。アロエ(全葉)には水溶性化合物と、水不溶性化合物の両方が含まれているので、水溶性、脂溶性化合物を含むあらゆる種類の薬物の最適な担体(運搬物質)となる性質を持っている。おそらく、その水溶性性質はゲル部位に起因していて、水不溶性性質は、外皮の部分に起因していると考えられている。このような両親媒性を持っているので、相反する両方の物質を皮膚バリアーを通過して血管真皮へと到達させることができると考えられる。アロエベラは、又皮膚表面と水和し、皮膚を覆い尽くすことで、皮膚への透過性を増大させる作用も持っている。ステロイド剤の経皮吸収は、角質層の厚さに依存しており、身体の部位によって吸収率が異なる。通常は、皮膚に何グラムステロイド剤を塗布しようとも、その99%は吸収されなくて無駄になってしまっている。ヒドロコルチゾンは、角質層の厚さの違いにより、足の裏より生殖器の皮膚の方が多く吸収される。
表4.1 6時間経過後の5%トリパンブルーの皮膚浸透距離(mm)に対する
粘液質とアロエベラ(ゲル)の影響
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浸透距離(mm) |
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1時間 |
3時間 |
6時間 |
5%トリパンブルー溶液 |
8.5±0.9 |
10.0±0.3 |
9.5±0.7 |
10%アロエベラ溶液 |
7.3±0.9 |
11.5±1.2 |
11.8±1.2● |
10%粘液質溶液 |
6.9±1.0 |
8.8±0.7 |
7.4±0.6■ |
5%アロエベラ5%粘液質溶液 |
7.2±0.5 |
7.8±0.7 |
6.2±0.6▲ |
15匹ラット/グループ ●P=0.05■P>0.05,P<0.001▲P>0.5
試験の結果、アロエベラがヒドロコルチゾンの優れた媒体(vehicle)であることが解った。対照群である5%トリパンブルー溶液の浸透距離は、6時間中で最高9.5±0.7mmであったのに対し 10%アロエベラ(ゲル)溶液の浸透距離は、最高で11.8±1.2mmで対照群に比べて24.2%多く浸透した。一方、10%粘液質溶液では、浸透距離は、対照群に比べて22.1%少なかった。(図4.1)このように粘液質には、浸透物質を特定部分に固定してしまう作用を持っている。5%アロエベラと5%粘液質の混合溶液では、浸透距離が対照群に比べて34.7%少なかった。(表4.1) このデータから、アロエベラ(ゲル)が経皮吸収を増加させる作用を持ち、薬剤の経皮吸収を助ける目的で使用できることを示唆している。粘液質は、流体が流れ出るのを防ぐ袋の様な役目をしているのではないかと考えられる。これらの結果から、粘液質やアロエベラゲルは、外傷の治癒を促進するのに重要役割を持っていると考えられる。
皮膚は、ポリペプチドの鎖状の分子であるコラーゲン線維が重なり合って出来ている。その線維の直径や長さはまちまちである。皮膚のふくらみや水分量は、それらの繊維の結合状態により変化する。(6) こまかく見れば、1本1本の原線維が重なり合う様に結合してコラーゲン線維が形成されている。この線維と線維の間には、基質(ground substance)が充満している。基質の最も重要な構成成分は、プロテオグリカンで、古い言い方ではムコ多糖類と言われている物である。このような皮膚の構造は、アロエベラの作用や性質を理解する上で手助けとなる。皮膚は、過剰の水分を貯蔵したり、必要な時に体に水分を供給したりしている。皮膚には、かなりの量の水分が蓄積されていて、脱水症の際は、皮膚は体の他の器官に水分を補給する貯水池のような働きをする。皮膚の中で大部分の水分は、基質内に存在する。皮膚のタンパク質やムコ多糖類は、皮膚の水分含量を調節する重要な役目を持っている。皮膚の中の水は、他の物と結合した状態ではなくフリーの状態で存在している。
角質層と水分吸収
皮膚からの体内への水分移動は、角質層により制限され、そして調整されている。即ち、角質層は水分移動の関門になっている。皮膚表面の水分量が多くなればなるほど、皮膚からの水分の浸透率も高くなる。粘液質を皮膚に塗ると、皮膚から水分が失われるのを防ぐ保護膜として働く。角質層にある水分は、大気中の水分と下部組織にある水分との間で平衡を保っている。皮膚の形態と真皮での血液循環の状態によって、皮膚からの水分吸収が影響を受ける。(7) 基質にあるタンパク質とムコ多糖類の量や特性も又、水分の取り込みに影響を及ぼしている。当然、皮膚が乾燥しているときは、大量の水分を取り込むが、その取り込む量は、基質のタンパク質やムコ多糖類の濃度によって変化する。
粘液質による葉の保護作用
マウスの耳の小隆起に部分的にクロトン油を塗って引き起こされた炎症に対する抑止効果で、1%と5%の濃度の粘液質は、濃度に比例した効果が得られた。1%濃度では、3.7%の消炎効果を示したのに対して、5%濃度では、33.7%消炎効果を示した。これらの反応は、棒グラフで示している。(表4.2,図4.2)
表4.2 アロエベラの粘液質を塗布した場合の消炎効果
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浮腫 |
|
耳の重量(mg) |
減少率(%) |
25μg/ml油性溶液(コントロール) |
7.42±1.01 |
- |
1%粘液質溶液 |
7.14±0.85 |
3.77 |
5%粘液質溶液 |
4.92±0.85* |
33.69 |
±:標準誤差 *:P<0.001
粘液質は、外皮の下にあってゲルを貯蔵する容器としての役目を持っている。外皮部分では、アロインが生成されと共に、ゾル質からゲル質への変換も行われている。粘液質は、アロエの葉が傷付いたときにその部分をカバーする役割を持っている。粘液質は、ムコ多糖類の鎖状の高分子から出来ていて、外皮にあるムコ多糖類は、内部の柔細胞の中に蓄えられているムコ多糖類と平衡状態にある。粘液質の中には、成長因子(growth factor)が、存在し、それが、内分泌的に又機械的に葉の傷を治すことに関係していると考えられている。
アロエベラの生理活性
アロエには大小さまざまな成分が含まれている。これらの成分の皮膚からの吸収や体内でに分布は、年齢、性別、環境、角質層、真皮、表皮の状態によって影響を受ける。アロエの成分が代謝されて変化したり、皮下の血流が変化した場合でも、アロエ成分の吸収に影響が現れる。皮膚は、一方で生体の恒常性を保つために体外からの物質の体内への侵入をコントロールするシステムを持っている。しかし、アロエの成分は、皮膚の血行や侵入物質の生理作用に影響を与えることで、皮膚から浸透に変化を与えることが出来る。アロエベラの経皮吸収に影響を与える要素として、皮膚の血行、皮膚温度、皮膚の排泄機能、皮膚残留物質、そしてアロエの塗布量、塗布面積そして塗布時間などがある。アロエには、経皮吸収を増加させる媒体(vehicle)として作用する成分は、複数存在する。(8)
アロエベラはヒドロコルチゾンの媒体(vehicle)となる
アロエベラは、オイルを塗ったときのように、皮膚に潤いを与え、柔軟にする作用を持っている。その上、包み込む様な性質を持っている物質である粘液質が、皮膚を覆って水分の損失を妨ぐ。この作用は、外傷治癒に効果を発揮する。
両親媒性を持つアロエは、独特の生物媒体(biological vehicle)としの作用を持っている。角質層は、通常、ステロイド剤の浸透を防ぐ障壁(barrier)として作用している。しかし、アロエベラは、その障壁(barrier)と水和して、ステロイド剤のケラチン層への浸透を容易にし、ステロイド剤の経皮吸収を増大させる。アロエのボリュームのある流動体(ゲル)は、両親媒性を持っているので親水性、疎水性両方の化合物の経皮吸収を助けることが出来る。このアロエの「両親媒性」の性質は、薬物の浸透力を増強させるとともに、薬物に対する皮膚の抵抗性を押さえる作用も持っている。アロエを皮膚に塗ったとき、アロエが十分に皮膚になじんで(水和して)いて、一方、アロエとステロイド剤との結合がそれほど強くなく、更にアロエと皮膚との接触時間が適切であれば、ステロイド剤の吸収が増大し、その効果を高めることが出来る。この特徴は、アロエベラによって引き起こされる固有のものである。
医師が、ヒドロコルチゾンの製剤を使用するときに、常に良い吸収を示して、効果が得られると思いがちである。しかし、現実はそうではない。アロエと併用した場合、アロエの持つ特異な「媒体(vehicle)効果」が、ステロイド剤の生理活性を高め更に、アロエの持つ物理的特性が、ステロイド剤の毒性を減少させることが出来る。
このことから次の様な疑問が生まれる。
「アロエベラを併用することで、他の薬物の毒性も減少させることが可能なのであろうか?」
足の炎症に対する実験(paw-swelling assay)で、ヒドロコルチゾンを計画的投与した場合、アロエベラと配合したヒドロコルチゾンは、より良い結果を示した。(浮腫減少88.1%)。又、クロトン油による耳の炎症の実験(croton oil ear-swelling assay)では、アロエとヒドロコルチゾンとの間に完全な相加的な効果の増進が見られた。(局部的に引き起こした浮腫が97%減少した) 一方、多形核白血球の進入が91.1%も減少した。(感染症予防)
これらの研究から、アロエベラには、明らかに相加的な媒体(vehicle)としての効果があることが立証され、更にヒドロコルチゾンの副作用を防ぐ作用を示した。(図4.3、4.4、4.5)(9)
アロエベラは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の媒体(vehicle)になる。
エストロゲン(卵胞ホルモン)に誘発される子宮の成長には、増殖を刺激する作用のあるポリペプチド成長因子が部分的に介在している。
(エストロゲン:卵胞ホルモンのこと。厳密には、女性の発情と性的感受性を起こす物質を言うが、子宮に変化を起こさせる物や発情ホルモンの代謝物も含めて用いられる。天然には、エストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類がある。)
ポリペプチド成長因子には、インシュリン様成長因子1と表皮成長因子(EGF)の2つの成長因子があり、エストロゲン(卵胞ホルモン)による子宮の成長の誘因物質として関係している。(10)
表皮成長因子(EGF)は、マウスの子宮の成長に関与するエストロゲン(卵胞ホルモン)の媒介物質(mediator)として作用している。表皮成長因子(EGF)に対する抗体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)による子宮の成長を70%抑制する。子宮血管の内皮細胞では、DNAの合成が行われていることが観察されている。また、プロゲステロンは、インシュリン様成長因子のエストロゲン(卵胞ホルモン)介在に関与し、エストロゲン(卵胞ホルモン)の効力を増強する。
(プロゲステロン:黄体(形成)ホルモン。妊娠の維持、卵胞の成熟防止、乳腺の発達促進、月経の停止などを引き起こす。医薬品としては、流産の予防、子宮不正出血の処置、黄体ホルモン欠如による性器機能障害に用いる。局方収載。)
しかし、卵巣摘出マウスでは、エストロゲン(卵胞ホルモン)は、血液中の黄体ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の一部の作用を抑制する。(11)
(黄体(形成)ホルモン(LH):女性ホルモンの1種。卵巣黄体から分泌されるステロイドホルモン、天然では、プロゲステロンだけ。卵胞ホルモンと共同して、受精子の着床、妊娠の継続を助ける。)
(卵胞刺激ホルモン(FSH):下垂体前葉から分泌される糖タンパク質ホルモンで、卵胞ホルモンの分泌を促進し、卵胞成熟及び精子形成を促進する。)
少量のエストラジオール(マイクログラム)を投与すると、6時間で未成熟なラットの子宮の全重量、乾燥重量、水分量共増大させる。(12) この反応は、当然予測できる。なぜなら、マウスでは、有糸分裂活動が、子宮と膣で観察されているからである。
エストロゲン(卵胞ホルモン)は、更年期の女性における虚血性心臓疾患に対する予防効果をもっている。(13) それは、エストロゲン(卵胞ホルモン)が、血漿脂質や高比重のリポタンパクを減少させる作用を持っているから起こる。(抗アテローム動脈硬化症) その結果、エストロゲン(卵胞ホルモン)は冠状動脈疾患に対して、50%の予防効果を持っている。エストロゲン(卵胞ホルモン)は、小麦胚芽油。ナツメヤシ、クローバー、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)に含まれ、これらを摂取することは、女性にとって上記の病気を予防する効果がある。(14)
E. B. Astwood (15)は、一日当たり0.002μgと0.1μgのエストラジオール(卵胞刺激ホルモン)投与の用量作用曲線を作成した。ラットの子宮頸の拡大は、発情静止期から発情期まで減少するが、妊娠期間は増加する。この増加は、リラキシン(卵巣応対ホルモン様物質)の作用による。(16) エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)は子宮の窒素やヘキソサミン(6炭糖のOH基がNH2基に置き換わったアミノ糖)を増加させるが、コラーゲンは、減少させる。これらのことは、皮膚では起こらない。(17)
この研究の目的一つは、アロエベラが卵巣摘出マウスでエストロゲン(卵胞ホルモン)活性をもつかどうかを調べることである。我々は、又卵巣摘出マウスに安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を0.005μgから0.1μg投与したときの用量作用曲線の作成を試みた。更に、アロエベラが生殖ホルモンの媒体(vehicle)としての作用を持っていて、結果エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の吸収を促進して、その体内での活性を高めるかを卵巣摘出マウスで実験した。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の定量
成熟した雌のマウス(30g; ten animals/group; HSD-ICR; Frederick, Maryland, colony)から卵巣を摘出し、5日後から、生理食塩水(対照群)、100mg/kg又は300mg/kgのアロエ全葉を、毎日7日間皮下に注射した。12 日目に、膣内容塗布法(vaginally smear)(粘膜表面の細胞の種類により性的周期を観察する方法)により、それぞれのマウスがどの発情周期にあるかを測定した。そして、子宮を摘出して、濾紙でふき取って乾燥し、その重量を測定し、それぞれの平均値からの標準誤差を記録した。
安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の用量作用曲線を得るために、卵巣摘出マウスに、トウモロコシ油(コントロール)、0.005、0.01、0.1μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を、4日間にわたり投与した。5日目に子宮を摘出し、拭き取って乾燥し、その重量を測定した。また別に、卵巣摘出マウスに、生理食塩水(コントロール)、0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)のトウモロコシ油溶液、そして0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)トウモロコシ油溶液と50mg/kgと300mg/kg アロエベラ溶液一緒に、4日間にわたり投与した。5日目に、マウスから子宮を摘出し、拭き取って乾燥し、その重量を測定した。アロエベラは、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)とは、別々に皮下注射で4日間毎日決まった時間に投与された。
アロエベラのエストロゲン(卵胞ホルモン)媒体(vehicle)としての実験結果
アロエベラ全葉が、卵巣摘出マウスに皮下注射により7日間投与されたが、その間、発情は引き起こされなかった。更に、100mg/kg、300mg/kgの両方の投与群とも子宮重量の増加は見られなかった。(表4.3)アロエに通常含まれるステロール類は、大量ではエストロゲン(卵胞ホルモン)活性を持っているにも関わらず、アロエベラの投与では、エストロゲン(卵胞ホルモン)活性は、示さなかったので、アロエベラ自身には、エストロゲン(卵胞ホルモン)活性は、持っていないと結論づけた。アロエベラには、ステロール類の活性を変えてしまう別の因子があるのかもしれない。T. Maliniは、ステロール類には、子宮重量の増加させたり、膣上皮に角質化した細胞を生じさせたりするエストロゲン(卵胞ホルモン)活性があることを証明している。(18) しかし、M. I. Elghamryは、ステロール類のエストロゲン(卵胞ホルモン)活性は、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の400分の1であると推定しているが(19)、植物由来のステロール類には、幅広い生理活性を持っていることは事実である。
表4.3 卵巣摘出マウスでの膣粘膜付着物(膣内容塗布)と子宮重量に対する
アロエベラ全葉の効果
投与量(mg/kg)7日間 |
発情期のマウスの数 |
子宮重量(mg) |
生理食塩水(対照群) |
1/10 |
27.2±2.6
|
アロエベラ100mg/kg |
0/9 |
29.0±4.1* |
アロエベラ300mg/kg |
0/11 |
29.0±2.0* |
*P>0.5 ±=標準誤差
卵巣摘出マウスに安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を4日間皮下注射で投与した時の子宮成熟効果は、0.005μgの投与量で、69.2±1.5mg、0.1μグラムの投与量で、177.7±7.8mgであった。子宮重量の増加に対するの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の用量応答曲線は、少量でも非常に敏感で、再現性の高い長い曲線である。 又、回帰線の偏差は非常に小さい。この用量応答曲線は、1000分の1マイクログラムのような小さな値まで定量することが出来る。(図4.6)
アロエベラ全葉を、卵巣摘出マウスに5日間皮下注射したとき、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮成熟効果を増大させた。(図4.7、表4.4)
生理食塩水を注射した対照群の卵巣摘出マウスの子宮重量は44.8±0.7mgであった。0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を投与した場合、62.4±2.6 mgに増加した。(対照群に比べ39.3±1.6%の増加) 0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を50mg/kg のアロエベラと一緒に同時に投与した場合、子宮の重量は67.8±1.3 mgであった。(対照群に比べ51.3±1.0%の増加) 0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を300mg/kg のアロエベラと一緒に投与したときの子宮重量は、74.2±3.7 mgとなった。これは、対照群に比べ65.6%の増加である。この結果は、アロエベラは、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮成熟効果を、単独のときよりも実質的に2倍にしたことになる。アロエベラは、この投与量ではエストロゲン(卵胞ホルモン)活性を持たないが、エストロゲン(卵胞ホルモン)反応を増大させる非常に有効な媒体 (vehicle) として作用していることが証明された。おそらく、アロエベラは、タンパク質系のホルモンに対して媒体(vehicle)としての作用を持っていると考えられる
。
表4.4 全葉アロエベラを卵巣摘出マウスに5日間皮下注射により投与した場合の
安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮成熟効果
|
子宮重量 |
投与量 |
重量(mg) |
増加率(%) |
生理食塩水(対照群) |
44.8±0.7 |
- |
0.01μg安息香酸エストラジオール単独 |
62.4±2.6 |
39.3±1.6 |
0.01μg安息香酸エストラジオールと
50mg/kgアロエベラ併用 |
67.8±1.3 |
51.3±1.0 |
0.01μg安息香酸エストラジオールと
300mg/kgアロエベラ併用 |
74.2±3.7 |
65.6±3.3 |
これらの結果から、次のような疑問が生まれてくる。
「アロエベラは、脳下垂体摘出動物に、成長ホルモンを投与した場合、その成長促進作用(同化活性)を高めることができるだろうか?」
「アロエベラは、媒体(vehicle)としての作用を持っているので、有効な薬物の投与量を減少させて、その毒性を減ずることができるであろうか?」
プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)に対する、相互依存的生物媒体(vehicle)としてのアロエベラ
外部から投与された男性ホルモンは、精巣に対して両面の効果を持っている。少ない投与量では、脳下垂体のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の作用を押さえることによって、通常の動物での精子形成を間接的に阻害する。一方、大量の投与量では、脳下垂体摘出ラットで精子形成機能を保つ作用を持っている。
テストステロン(男性ホルモン)の作用は、前立腺や精嚢の肥大に影響を与える。アンドロゲン(男性ホルモン)は、アンドロゲン(男性ホルモン)依存細胞の形態的な変化を誘発する。
(アンドロゲン:男性ホルモン作用を持つステロイドホルモンの総称。テストステロン(男性ホルモン)、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロンなどがあり、精巣で合成される。)
生殖腺摘出後に睾丸抽出物を投与すると、摘出前の状態と同じになり、細胞核の変化や上皮細胞の減退がなくなることが観察される。R. M. Melampyは、去勢後、核の直径や細胞の厚みの減少は、テストステロン(男性ホルモン)を投与することで正常化すると述べている。(20)
核にある有孔物質との堅い結合は、去勢した雄ラットと、去勢してアンドロゲン(男性ホルモン)投与した雄ラットの精嚢上皮細胞で比較定量された。核の孔密度は、男性ホルモンの投与により増加した。去勢は、細胞萎縮、核濃縮、リボ核タンパクの減少、 核サイズの減少を引き起こす。男性ホルモンの投与は、逆に細胞の高さや核の直径を増加させる。(21) ステロイド系の男性ホルモンは、RNA合成を増加させる標的細胞での遺伝子複写に関与している。プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を投与した去勢ラットで、3つのポリアミン(アミノ基を2つ以上持つ化合物)の量が、精嚢と前立腺で増加した。(22) それらは、核酸やタンパク質の合成をコントロールする役割を持っている。ポリアミンは、細胞や組織の成長に関与していると推測することができる。プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を投与したマウスでは、セルトリ細胞の活性を増加させるとともに睾丸や精嚢の重量も増加させた。しかし、アンドロゲン(男性ホルモン)は、活動しているライジッヒ細胞でのステロイド産生を直接的に阻害する作用を持っている。
(セルトリ細胞:脊椎動物の精巣の精細管壁にあって、精子形成過程の生殖細胞を支持・栄養する細胞。)
(ライジッヒ細胞:睾丸の結合織中にある特有な細胞で、大型円形にして色素顆粒、脂肪、仮結晶などを含む。精ホルモン産生に関連する。)
抗アンドロゲン(男性ホルモン)剤は前立腺や精嚢のテストステロン(男性ホルモン)の作用をブロックすることができる。この作用は、前立腺肥大、ニキビ、男性型多毛性に臨床応用できる。これらを応用して、男性の生殖能力を阻害する薬剤の開発も行われている。(23)
投与法とアンドロゲン(男性ホルモン)製剤
プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)は、性腺機能不全症の臨床治療に用いられている。フリーの物は、エステル化した物より効果が低いことが立証されている。それは、エステル化した物は、吸収が遅れる傾向にあり、それがホルモンのより効率的な利用を促進しているからである。ステロイドホルモンがゆっくりと体内分布すれば、その作用期間を長くする効果がある。それ故、吸収が遅くなればなるほど、作用の時間を長くすることが出来る。Dリングで分子の長さをある長さまで増加させたならば、その作用期間や作用効率を増加させることが出来る。しかし、ステアリン酸塩のようにその鎖の長さを、あまり長くしすぎるとその活性は低下する。適度の鎖の長さがあるプロピオン酸エステルが、医薬品として最も広く用いられている。プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)は、油性製剤として市販されている。しかしながら、油性製剤には、アレルギーを発生するという欠点を持っている。更に、それは、筋肉注射または皮下注射で、局所の炎症を引き起こす。それは、ホルモンが放出された後、油の吸収にかなりの時間がかかる為であ
る。吸収されたホルモンは、2日から5日で失効する。このようなことから今まで使われていたテストステロン(男性ホルモン)の油性の媒体(vehicle)は、副作用があり、大部分が不適当なものであったと言える。(24)
それで、我々は、プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)の媒体(vehicle)として、アロエベラを使うことを考えた。その理由は、アロエベラが、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の媒体(vehicle)として非常に有効であったからである。アロエベラは、それ自身エストロゲン(卵胞ホルモン)活性をもたないが、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮重量増加効果を高める作用をもっている。
アンドロゲン(男性ホルモン)測定の生物学的方法
もし、男性ホルモンを敏感な組織に直接塗布した場合、 反応に必要な量は、注射する場合に比べて、約100分の1ですむ。我々は、生後一日のレグホン種の雄鳥のとさかに5日間、の約5μg/10 μlのアンドロステロンを直接塗布する方法を開発した。我々は、この実験からきれいな用量応答曲線を得た。この結果は、胎盤性性腺刺激ホルモンで治療している成長遅延の少年の尿抽出物の定量に用いることができた。生後一日の白レグホン種のニワトリのとさかは、これまでに開発されたうちで最も敏感な生物的観測が可能である。その定量の実験誤差は、約10%である。その他の哺乳動物を測定に使う方法も、多種多様にあるが、ひよこを利用する場合に比べて、感度が低い。
従来から行われているアンドロゲン(男性ホルモン)を7日間去勢ラットに投与して、その精嚢と前立腺を調べる実験では、良い結果が得られた。この実験では、我々は去勢した15gの雄マウスを使用した。去勢された未成熟なマウスを、3日間動けない状態にして、それから、4日間の間プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を投与してから、5日目に精嚢を取り出し水分を拭ってから、その重量を測定した。直腸を支えている肛門挙筋の測定は、行なわなかった。
(肛門挙筋:哺乳類の肛門に背側を半円周状に囲むテープ状の骨格筋。その機能は、必ずしも明らかではないが、この筋が、他の骨格筋に比し最も雄性ホルモンに反応し肥大することから、これを雄性ホルモンの蛋白同化作用ないし筋肥大作用の指標としてひろく同ホルモンの生物検定に用いられる。)
アンドロゲン(男性ホルモン)による肛門挙筋の肥大は、同化作用によると考えられており、性的な反応である精嚢の重量増加とは、相反する物であるからである。
哺乳動物を去勢すると、その振る舞いと同様、二次的な性的特性に大きな変化をもたらす。もし思春期以前に去勢が行われると、その変化はよりはっきりと現れる。ペニスや精嚢、前立腺、カウパー腺の発育は、停止する。人間の男性の場合、幼児性の毛髪のままであるとか、声変わりがしないなどの変化が生じる。普通の動物へアンドロゲン(男性ホルモン)を投与すると、睾丸の大きさを減少させ、生殖細胞の皮膜組織を退化させ、精子の生産を妨げる。それは、脳下垂体作用の抑圧により、睾丸の完全な機能を保持するために、不適切な量のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)が分泌されるからである。ラットにおける実験では、一日あたり2μgのプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を投与すると、睾丸の重量が41%減少した。アンドロゲン(男性ホルモン)によるラットの睾丸に対する損傷は、脳下垂体により引き起こされていることが解る。
この研究では、アロエベラがプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)の生物学的な「相互依存的な」媒体(vehicle)として作用するかどうか調べる為に行われた。未成熟な去勢マウスに対する25μg×4日間のアンドロゲン(男性ホルモン)の投与量は、未成熟の去勢ラットにおいて行われている投与量を基にして決定された。全葉アロエベラは、150mg/kgを4日間投与された。アロエベラ自体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)活性やアンドロゲン(男性ホルモン)活性を持っていない。しかし、アロエはエストロゲン(卵胞ホルモン)の活性を増強する効果を持つことから、同様の相互依存作用でアンドロゲン(男性ホルモン)活性を増強するかどうかを、プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)投与した去勢マウスの精嚢の重量を測定することで、定量する事を試みた。
アンドロゲン(男性ホルモン)の定量
未成熟な去勢マウス(15g; 1グループあたり10匹; HSD-ICR Maryland Colony)に、トウモロコシ油に溶かしたプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を毎日皮下注射で投与した(25μg×4日間)。アロエベラ(全葉)も、毎日アンドロゲン(男性ホルモン)の投与と同時に、150mg/kg×4日間皮下に注射した。対照群のマウスには水、またはトウモロコシ油を投与した。また、アロエベラの対照群として、150mg/kgのアロエベラを4日間単独で投与した。テストステロン(男性ホルモン)の投与量は、未成熟な去勢ラットで行った用量応答曲線に基づいて決められた。精嚢の平均重量や標準誤差は、有意差を決定するために使われた。組み合わせて投与した方が、それぞれ単独に投与した場合の合計(A+B=C)よりも大きくなるかどうか検討された。
プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)とのアロエベラの相互依存作用
我々は、7日間にわたりプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を未成熟去勢ラットに投与して、用量応答曲線を作成した。(図4.8) 未成熟去勢ラットを用いた理由は、モデルとして使用するにはラットが最も適していることが文献に繰り返し述べられていたからである。(25)
精嚢の重量は、テストステロン(男性ホルモン)投与グループ全体で132mgから200mgまでの範囲であった。(対照群は23mg)。前立腺、同化指標、肛門挙筋に対する感受性は低かった。
(同化作用:物質代謝において、原料物質の化学的複雑さを増加させる化学変化。異化作用の反対。)
このデータから、我々は未成熟な去勢マウスを用いての研究を計画した。なぜなら、マウスはラットより幾分かアロエやプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)に敏感であるからである。
去勢したマウスは、4日間毎日25μgのトウモロコシ油に溶かしたプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)の投与を受けた。精嚢の重量の増加率(%)は、18.0±1.6(油投与の対照群)から312.3±12.0 (A)にまで増加した。150 mg/kgのアロエ全葉を、25μgのプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)と同時に投与した場合、精嚢の重量は、461.02±28.5%(C)もの増加を示した。150mg/kgのアロエベラを単独で4日間投与した場合、精嚢の重量の増加は、8.1±0.9%にとどまった。(B) これらの結果からアロエとプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)を組み合わせて投与した方が、それぞれ単独投与の合計(A+B=C)よりも大きいことが解る。それ故、アロエベラ自体は、アンドロゲン(男性ホルモン)活性をもたないが、プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)と相互依存的な関係を持っていることを示している(表4.5、図4.9)
表4.5 未成熟去勢マウスの精嚢重量に対する全葉アロエベラと
プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)の相互依存効果
投与法 |
精嚢重量(mg) |
増加率(%) |
対照群(水投与) |
6.7±0.6 |
- |
対照群(油投与) |
7.9±0.7 |
18.0±1.6 |
25μgプロピオン酸テストステロン4日間単独 |
20.9±0.8 |
312.3±12.0(A) |
25μgプロピオン酸テストステロンと
150mg/kgアロエベラ4日間併用 |
30.7±1.9 |
461.0±28.5(C) |
150mg/kgアロエベラ4日間単独 |
7.2±0.8 |
8.1±0.9(B) |
これらの試験の結果、から次の様な疑問が生まれてくる。
「それでは、アロエベラは、他のほとんどの治療薬の媒体(vehicle)または調節剤となり得るのであろうか?」
これらのアンドロゲン(男性ホルモン)による試験結果から、アロエベラは、エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)に対してよりテストステロン(男性ホルモン)に対してより良い媒体(vehicle)であることを示している。
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ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の拮抗作用
A. 片側卵巣摘出マウスでの下垂体ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)に対するアロエベラ全葉の効果
マクロファージ(大食細胞)や単球(単核細胞)で分泌されるサイトカインの1種であるインターロイキンは、免疫性を示し、卵巣摘出動物でゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)を放出する役割を持っている。(26)。
(性腺(生殖腺)刺激ホルモン(ゴナドトロピン):GTHと略記。生殖腺の活動を支配するホルモンの総称。脊椎動物では、下垂体前葉で分泌される濾胞(卵胞)刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が主である。また、哺乳類の胎盤からもGTHが分泌されており、その体表的なものは、ヒト絨毛膜性(胎盤性)生殖腺刺激ホルモン(HCG)と妊馬血清性生殖腺刺激ホルモン(PMSG)である。脊椎動物のGTHは、糖ホルモンであるため分子は均一ではなく、いくつかの分子がありそれぞれ生物活性が異なる。GTHの分泌は、視床下部からの生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により調節される。)
(インターロイキン:インターロイキンは、白血球により産生され、それ自身あるいはその他の白血球の分化・増殖・機能などに影響を与える分子の総称。現在10種類以上のインターロイキンが同定されている。)
インターロイキンは、卵巣切除ラットの黄体(形成)ホルモン(LH)の分泌を阻害する。それは、安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)を十分に投与した卵巣摘出ラットでプロゲステロン(黄体(形成)ホルモン)により引き起こされる黄体形成ホルモン(LH)の放出を阻害する。インヒビン(睾丸分泌ホルモン)は、脳下垂体で分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)を阻害し、その効果は、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン受容体の変化によりまったく影響を受けないとされている。インヒビンは、生後18日から20日の間に、卵胞刺激ホルモンの分泌を調節する生理作用を開始する。(27) 他の実験結果から、インターロイキンが脳や性腺の部分で作用していて、脳下垂体で黄体形成ホルモン(LH)の再生機能を阻害しているのではないことを示している。(28) インターロイキンは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を刺激する。そして、培養したライディヒ(Leydig)細胞(精巣内の間細胞)での性ステロイドホルモンの生成を阻害する。更に、培養実験では顆粒膜細胞の黄体形成を妨げる。(29)
(ACTH(adrenocorticotropic hormone):副腎皮質刺激ホルモン。下垂体前葉のACTH産生細胞で産生・分泌され、副腎皮質機能を促進するペプチド)
アロエベラはマクロファージを刺激してインターロイキン(ポリペプチドサイトカイン)を産生させることから、アロエベラを大量に投与すれば、片側の卵巣を切除した動物でのゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌を阻止するのではないかという観点から、この研究を計画した。C. Rivier and W. Vale(30)は、黄体形成ホルモン(LH)分泌を押さえた去勢雄ラットの側心室に、インターロイキンが入り込むことを報告した。恐らく黄体形成ホルモン(LH)放出の抑制は、脳血液関門での通過に関係すると考えられる。アロエに含まれるマンノース多糖類によるマクロファージの刺激により、12時間後から5日間の間、インターロイキン値を上昇させる。(31)
ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)抑制の定量
成熟した雌マウス(30g;1グループあたり15匹;HSD-ICR)の片側の卵巣が摘出された。摘出された右側の卵巣の重量が測定された。マウスに100mg/kgと300mg/kgの全葉アロエベラが、7日間皮下注射により投与された。 対照群の動物に対しては生理食塩水が投与された。7日目に左側の卵巣を摘出し、その重量が測定された。その増加量を、対照群としての最初に摘出した片側の卵巣と比較して、その重量増加率を測定した。それにより、平均値の標準誤差、及び有意差が決定された。
アロエベラは下垂体ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の作用を低下させる
7日間経過後の生理食塩水を投与された片側卵巣摘出マウスの卵巣重量増加は、23.0mgであった。100 mg/kgのアロエベラを7日間投与した場合は、その重量の増加は、18.2mgになった。しかし、300mg/kgのアロエベラを投与した場合は、逆に卵巣重量は、1.5mg減少を示した。アロエベラを多量に服用すると、下垂体ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の作用を抑制し、卵巣重量の増加が起こらないことを、それらのデータは示している。事実、卵巣重量は、1.5mg減少した。アロエベラはマクロファージからのインターロイキンの放出を刺激するため、アロエの多量の服用により、インターロイキンを通してホルモンや屈性ホルモンの放出が抑えられていると推測することができる。通常のマウスに少量のアロエを投与した場合、卵巣重量の増加がみられるかもしれない。これは、卵巣に影響を与える視床下部-下垂体制御を調節している可能性があると考えられる。(表4.6、図4.10、図4.11)
表4.6 片側卵巣摘出マウスに全葉アロエベラを7日間皮下投与した場合の
下垂体ゴナドトロピンに与える効果
投与したアロエベラの量
(7日間投) |
もう一方の卵巣重量* |
|
1日目 |
7日目 |
増減率(mg) |
生理食塩水(対照群) |
50.6±6.8 |
73.6±3.8 |
+23.0 |
100mg/kgアロエベラ |
42.7±3.2 |
60.9±3.6 |
+18.2 |
300mg/kgアロエベラ |
55.3±5.1 |
53.9±3.4** |
-1.5 |
15匹/グループ *mg/100g(全子宮重量合計) **P<0.001
B. ヒト胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)を投与した未成熟マウスの子宮に対する全葉アロエベラの効果
ヒトのトロホプラスト(栄養胚葉)は、胞胚の着床部付近で、胎盤性ゴナドトロピン(ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン)(HCG)を分泌する。
(トロホプラスト(栄養胚葉):胚葉壁外胚葉の胚体外にある細胞層で卵子を付着せしめて栄養を供給する組織。)
卵子が着床した場合、一週間以内に、高濃度の胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)が高感度な定量法で検出することが出来る。前方下垂体と違って、栄養胚葉細胞では、負のフィードバックの作用はない。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)の基本骨格は、黄体形成ホルモン(LH)と類似しており、アミノ酸含量は、その配列と同様に、完全に一致する。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)にはマンノースとグルコサミンが高濃度含まれている(32)。 それは、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体(形成)ホルモン(LH)、特に黄体(形成)ホルモン(LH)に影響を及ぼしている。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)は、卵巣での排卵を誘発する。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)と黄体(形成)ホルモン(LH)は、同じ受容体に接続することが出来る。(33)妊娠期間のステロイド合成を調節しているその作用は、明らかではないが、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)の濃度は急速に上昇し、妊娠2ヶ月でピークに達する。それから9ヶ月目の終わりにかけて下降していく。その後、授乳のための乳腺が発達してくるが、恐らく乳腺刺激ホルモン(lactogen)がこれに大きく関与している。
子供の尿中にみられる抑制物質であるヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)は、未成熟なマウスの胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の子宮成熟作用を阻害する。(34) この抑制は、月経周期の研究から解ってきた。エストロゲン(卵胞ホルモン)を投与すると、エストロゲン阻害剤やゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の働きを抑制する。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)が視床下部や下垂体の隆起の中央に着床したとき、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌は減少する。(36) ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)は、黄体(形成)ホルモン(LH)と類似の生物活性、及び免疫活性を持っている。黄体(形成)ホルモン(LH)やヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)が、子宮内にも受容体を持つという最近の発見は、いくらかの混乱をもたらしているが、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)が、発情後期の子宮のプロゲステロン(黄体(形成)ホルモン)含量を調節していることが解った。(37)これは、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)が、子宮に弛緩作用を与えていると考えられる。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)は、排卵前期の卵胞の成長を促進している。そして、それは、顆粒細胞や膜細胞の黄体化を引き
起こしている。
この研究は、アロエベラが、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)に影響を与えて未成熟なマウスの子宮重量を増加させるか、それとも減少させるかを調べるために行われた。その結果、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)の投与量が0.30 i.u.で、子宮重量が、約30%の増加した。アロエの投与量は、最大量ではないが、少量でもなく適度な量と考えている。
胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)抑制効果の定量
未成熟なマウスに、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)の全投与量が0.30 i.u. となるように皮下注射した。1日目に0.05 i.u.を3回、2日目に2回、3日目に1回それぞれ注射した。また全葉アロエベラを全投与量が30mg/kgとなるように皮下注射した。1日目に5mg/kgを3回、2日目に2回、3日目に1回それぞれ注射した。アロエとヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)は、同時に投与された。4日目に、実験動物を解剖し、その子宮を取り出し、拭いて乾燥してからその重量を測定した。平均値からの標準誤差を計算し、有意差を決定した。
アロエベラは胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の作用を弱める
0.30 i.uのヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)を投与したマウスの子宮の重量は、73.5±3.8 mgであった。30 mg/kg のアロエとヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)を組み合わせて投与したときの子宮重量は、63.2±2.7 mg (P<0.05)に減少した。30mg/kgのアロエを単独で投与した時の子宮重量は、23.5±1.1mgで、生理食塩水投与の対照群(22.8±1.2 mg、P<0.5)との有意差はなかった。(表4.7、図4.12)
表4.7 ヒト胎盤性性腺刺激ホルモンを投与した未成熟マウスの子宮
に与える全葉アロエベラの効果
投与法 |
子宮重量(mg) |
対照群(生理食塩水) |
22.8±1.2 |
5mg/kgアロエベラ6回単独投与 |
23.5±1.1 |
ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン6回単独投与 |
73.5±3.8 |
ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン・アロエベラ併用 |
63.2±2.7* |
15匹/グループ ±:標準誤差 *P<0.05
アロエベラ自体には、卵巣重量に影響を与えるヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)様効果は、ほとんど、あるいは全くなかった。ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)自体は、卵巣を刺激し、子宮重量を増加させる。アロエベラの影響は、子宮重量で認められたが、卵巣重量では認められなかった。アロエベラを多量に投与しても、膣粘膜や子宮重量の反応の測定で示されたように、卵巣摘出マウスに対しエストロゲン(卵胞ホルモン)活性を示さなかったことからもこの結果は想像できる。しかし、アロエベラは、0.01μgの安息香酸エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮に対するエストロゲン(卵胞ホルモン)としての反応を2倍にすることが出来た。アロエベラはそれ自身エストロゲン(卵胞ホルモン)効果をもたないので、この反応は、付加的に効果が増えたとは考えにくく、アロエが、相乗的に作用していると考えられる。同様の方法で、アロエはプロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)との相互依存的な作用を示した。実際、アロエベラはエストロゲン(卵胞ホルモン)よりもアンドロゲン(男性ホルモン)との反応の方が、よりよい媒体(vehicle
)としての結果を示した。アロエベラの反応は、卵巣ではなく、子宮でそれも抑制的に行われている。このことは、アロエベラが、通常エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用を増強するのに、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモンの働きを弱めていることは、今論争中の子宮にあるヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)受容体で作用をしている可能性もあることを考慮に入れなければならない。
要約
アロエベラは、水との水和性の高さ、他の物質を包み込む作用(吸蔵作用)、そしてあらゆる化合物を溶解する能力(両親媒性)により物質の経皮吸収を高める作用を持っている。
アロエベラは、ステロイド剤の抗炎症作用を増加させるが、ステロイド剤が持つ、外傷治癒阻害作用を阻止する。
粘液質は、外傷部分の水分を保持する作用を持っている。
アロエベラは、ステロール類を含有しているにもかかわらず、エストロゲン(卵胞ホルモン)活性やアンドロゲン(男性ホルモン)活性を示さなかった。
アロエベラは、エストラジオール(卵胞刺激ホルモン)の子宮への効果を倍増させ、また、プロピオン酸テストステロン(男性ホルモン)と相互依存的にその作用増強させる。
全葉アロエベラは下垂体のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)作用を弱体化させる。これはインターロイキンの放出を刺激する作用によるものと思われる。
またアロエは、卵巣ではなく子宮で、胎盤性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の作用を弱らせる。
アロエベラのこれらの物質に対する刺激効果や抑制効果は、アロエベラが、多の物質に対して調整効果や媒体(vehicle)としての効果持っていることを、改めて証明するものである。
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