ティ−ツリーの木から取れる精油分のことをティ−ツリーオイルと呼んでおります。 ティ−ツリーとは、日本語に訳しますと「お茶の木」と言う意味ですが、この木は、 日常飲んでいるお茶の木とはまったく違うもので、学名が、メラルカアルターニフォ リア(Melaleuca alternifolia)と言うオーストラリア原産のフトモモ科の小木です。 クック船長が、オーストラリアを発見したときにこの木の葉をお茶代わり飲んでいたの でこの名前が付けられたと言われております。その後、オーストラリアの開拓者達もお 茶代わりにこの木の葉を煎じて飲んだので、メラルカアルターニフォリアがティ−ツリ ーと呼ばれるようになりました。
ティ−ツリーは、オーストラリアのニューサウスウエールズ州の北西部の海岸地帯の低 地に自生している木で、オーストラリアの原住民であるアボリジンがその葉を砕いてい ろんな病気の治療目的で利用をしていました。この木の葉が何らかの治療効果を持って いることは、解っていたのですが、1925年にオーストラリア国立博物館の館長をしてい たアーサーペンフォールド博士が、ティ−ツリーの木から採れる精油に抗菌作用がある ことを発見しました。その後、各種学術論文でその殺菌能力の効果が発表されるに従い 殺菌剤や外傷治療剤として広く使われる様になりました。第二次世界大戦中は、オース トラリア陸軍で消毒剤としても使用されていました。そして、1949年にイギリス薬局方 に収載されましたが、戦後は、抗生物質などの有効な殺菌剤の登場によりほとんど使わ れなくなってしまいました。しかし、1980年前後から起こった合成薬の副作用問題によ る天然物の見直し機運の高まりから、再び注目される様になってきました。 ティ−ツリーオイルは、メラルカアルターニフォリアの新鮮な葉や小枝の先端部分を蒸 気蒸留して得られる芳香のある透明から淡黄色の精油です。その収量は、わずかで、原 料の重量にたいして約1-2%取ることが出来きます。しかし、現在では、ティ−ツリーの 栽培技術が進んで、大規模な農場で人工的に栽培され、効率よくティ−ツリーオイルを 生産できる様になっております。
ティ−ツリーオイルは、主としてモノテルペン、テルペンアルコール及びセスキテルペンからなっており、現在までに96種類の成分が含まれていることが確認されています。 各成分の含まれている率は、採取される時期や場所により非常にバラツキが大きく一定 しませんが、その含有率は、次の様になっています。
1,8-シネオール | 15%以下 |
α-テルピネン | 5.0-13.0% |
γ-テルピネン | 10.0-28.0% |
パラシメン | 0.5-12.0% |
テルピネン-4-オール | 30.0%以上 |
α-テルピネオール | 1.5-8.0% |
α-ピネン | 1.0-6.0% |
テルピノレン | 1.5-5.0% |
リモネン | 0.5-4.0% |
この中で有効成分とされているのは、テルピネン-4-オールです。オーストラリアでの ティ−ツリーオイルの規格では、1,8-シネオールとテルピネン-4-オールの量だけが規 定されており、1-テルピネン-4-オールを30%以上、1,8-シネオールを15%以下含むもの をティ−ツリーオイルと規定しています。