アロエベラの持つ作用

アントラキノン

アロエベラの薬効には、大きく分けて2つあります。1つは、下剤としての作用ともう1つは傷や炎症をなおす作用です。アロエが、2つの作用を持っていることは、古くから知られていました。古代エジプトやギリシャの古い書物にもそのことが書かれています。しかし、どうして2つの違った作用を持っているのかは解りませんでした。

近代になってアロエの研究が行われる様になりましたが、初期の研究のほとんどは、アロエの下剤としての研究でした。その研究の結果、下剤として作用する物質が、動物の 食害から自分自身を守るためにアロエが外皮の直ぐ下に持っている黄色いどろどろとした苦い液体であることが解りました。この液体は、アントラキノンと言う構造を持つ化 合物で、一番多く含まれている物質は、アロインと言う物質です。又、このアロインが下剤としての効果を持っています。その為、最初のアロエの近代的な利用方法は、下剤 としての利用でした。現在でもアロエは、下剤の原料として使用されています。

アロエのもう一つの作用である、傷や炎症を治す作用が科学的に立証されたのは、1935年になってからです。それまでは、経験的に解っていたのですが、科学的に立証されたのは、アメリカでコリンズと言う医師が、放射線によるやけどの治療にアロエベラゲルを使って劇的に治ったと発表してからです。

当時は、重傷のやけどは、非常に治りにくい病気で、皮膚移植以外に方法が無かったのですが、新鮮なアロエベラのゲルを傷口に張り付けると重傷のやけどが数週間で完全に治ってしまいました。この発表が、アロエベラが外傷ややけどに効果があることを立証した最初の報告です。その後、アメリカでは、アロエベラ、特にアロエベラゲルがやけどの治療に広く利用されるようになり、それと共に人工栽培も行われるようになりました。

アロエベラの断面図(27KB)

アロエのやけどに対する不思議な効果は、アロエが皮膚に良いと言う思想を生み出し、 化粧品や医薬品に広く使われるようになると共に、アロエの作用メカニズムの解明も 進んでいきました。アロエベラの葉を垂直に切りますと図のようになります。一番外側は、緑色した外皮に覆われています。この部分は、15の細胞の層からなっていて、ここで光合成が行われます。

光合成とは、植物が行う代謝活動で、光のエネルギーを利用して、炭酸ガスと水から 各種物質の原料になる活性炭素を作り、酸素を空気中に放出します。 (地球環境の改善) 作り出された活性炭素は、アロエが持っている酵素により、アロエの生命を維持するために必要な炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミンなどが作られます。外皮は、各種物質の製造工場の役目を持っています。

アロエの光合成

「炭酸ガス」と「水」 → 光合成 → 「活性炭素」と「酸素」

光合成(3KB)

外皮の内側にある層が木部と篩部で、木部とは、セルロースやリグニンなどの堅い物質から出来ている組織で、アロエベラの体型を維持する骨の役目をしています。篩部とは、根から吸収した水分や栄養素を外皮に運んだり、外皮で出来た栄養物をアロエベラ全体に運んだりする運搬組織のことで、その部分に導管と言う筒状の道があります。アントラキノンと言う苦い物質もこの部分に含まれています。

木部や篩部の内側にあるのが、粘液質の層です。アロエの葉を切って外皮を剥がすと非常にねばねばしておりますが、それは、この粘液質の層があるからです。アロエが、外傷や胃炎を治したりするのは、この粘液層に秘密があります。

アロエの葉を切ってもアロエは死にません。それは、アロエが傷口を修復する機能を持っているからです。動物も植物も同じですが、体を切られますと切り口からばい菌が侵入して死んでしまいます。その為には、包帯などをして傷口を保護する必要があります。アロエの場合、その包帯の役目を、この粘液質が持っております。粘液質は、アロエ全体を包み込む容器の役目をしていて、外皮が傷つけられて内部のゲル部分が露出しますと、この粘液質がゲル部分を覆って外部とゲルを遮断してしまうためです。

この粘液質は、多糖類が主成分で、この多糖類は、ゾル(流動質)からゲル(固形質)に変換する性質を持っています。その為、素早く傷口を包み込み、傷口を覆って固形化するために傷口は保護され、細菌などの侵入を防いでいます。外傷ややけどにアロエベラゲルを塗った場合、アロエベラが自身の傷を治すのと同様の作用を我々の傷に対してするため、アロエベラが各種の傷を治す作用を持っているのです。これが、アロエベラの持つ2つ目の作用の原理です。粘液質の層の内側は、ゲルと言う透明な水分を沢山含んだ巨大な柔細胞から出来てきます。
アロエベラでは、このゲル部分がアロエベラ全体のほとんどを占めます。この組織の目的は、外皮で作られた栄養物を貯蔵するのが目的です。通常、アロエベラと言った場合、葉全体を指し、アロエベラゲルと言った時は、このゲル部分だけを指します。

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