庭先に置かれた鉢植えのアロエをあちこちで見かけると思いますが、おせいじにも きれいとは言えない植物です。グロテスクと言えるほど妙な形をした植物です。 それでは、なぜこの美しくもない植物を栽培するのでしょうか。それは誰もがア ロエが薬として利用できる薬用植物であると知っているからです。料理をしていて、 やけどをしたとき、日に焼けて、肌がヒリヒリしたときなど、アロエの葉を切って内 部のぬるぬるした所を塗ると痛みか消えて早く治ります。また胃腸が悪いときな どに食べると調子が良くなったりします。アロエは、その効き目のために家庭で栽培されている唯一の植物と言っていいのではないでしょうか。
このアロエは、元々日本にあった植物ではなく、原産地は、中近東あたりではない かといわれていますが、どこなのか良く解っていません。古代エジプトでアロエを病 気の治療に使用したことが記録に残っていますので、非常に古くから使われていたこ とは確かです。
アロエは、簡単に栽培でき効果のある薬用植物なので、人から人に伝搬されていき世 界各地で植えられるようになりました。日本に伝えられたのは、比較的新しく江戸時 代の初期で中国から入ってきました。
アロエは、気候の違う世界各地で栽培されたものですから、それぞれの地方の気候
に応じて違った種類が生まれて、現在世界中で300種類以上のアロエが見つかっています。
アロエベラも沢山あるアロエの1種で、カリブ海沿岸で生まれたものです。
アロエベラは、熱帯地方に育つアロエで、日本の様な寒い気候の所では育ちません。
日本で育つアロエは、キダチアロエという寒い地方に適したアロエです。
(アロエベラとキダチアロエの違い)
アロエベラは多年草の植物で、肉付きの良い三角形の形をした両端に棘のある葉 を付けます。その葉は、長さ50cm、幅13cmぐらいまで成長します。高さは120cmほどになり、先端に黄色い花を付けます。バラの花びらの様に交互に螺旋状に葉を付けて いき、その数は30枚ぐらいになります。
葉は3層に分かれていて、最も外側は堅い細胞からなる緑色した表皮で、表皮の下に 波打った様な形をしている層があります。さらにその内側に、ゼラチンのような透明のゲルがあり、このゲル部分が葉の60-80%を占めます。波打った層には、黄色い色をした非常に苦いどろっとした液体が含まれています。アロエベラがこのような苦い液体を体内に持っているのは、動物に食べられないようにするためだと言われています。アロエベラを食べようとした動物は、あまりの苦さに食べるのをやめてしまうからです。自分の生命を守るための知恵と言えます。この苦い液体のためか、アロエベラは害虫の被害を全く受けませんので、アロエベラを栽培するのに農薬を使う必要がありません。